キャッシュフローの点検
中小企業の決算ではキャッシュフロー計算書まで作りません。
会計基準で作成が義務づけられていないことがおもな理由です。
しかし、お金の動きは損益計算書と貸借対照表だけでは分からないこともあります。
簡単ですから、キャッシュフローの点検もかならず行なうようにします。
利益とお金
まずは今期の利益(税引後当期純利益+減価償却費)とお金の増減を比較します。
利益は損益計算書のいちばん下にある、税引後当期純利益に減価償却費を加えたものです。
お金の増減は今期の貸借対照表の現金預金と前期の貸借対照表の現金預金の差額です。
両者を比較して、差額があまり大きくなければ、いったんは利益分のお金が手元にあると考えていいでしょう。
また、両者の差額が大きい場合は、利益分のお金が手元にないか、利益よりも多いお金が手元にあるか、のどちらかです。
資産とお金
利益とお金を比較したあとは、資産とお金の動きをみます。
今期に土地や建物、株式などの売買をしていないか、振り返ります。
もし、不動産や株式にお金を使っていれば、その分のお金は少なくなります。
また、反対に不動産や株式を売却していれば、その分のお金が増えているはずです。
負債とお金
資産の動きをみたあとは、負債とお金の動きをみます。
今期に銀行などの金融機関から新規の借り入れをしていないか、あるいは借り入れの返済をしていないか、振り返ります。
もし、新規に借り入れをしていれば、その分のお金は多くなります。
また、反対に借り入れを返済していれば、その分のお金は少なくなります。
キャッシュフローの評価
もしも、利益分のお金が手元に残っていなくても、その分を不動産や株式に使ったのであれば、今期の利益は将来に向けて投資したことになります。
堅実なお金の使い方ということができます。
同じように、利益分のお金を借り入れの返済に使っていれば、今期の利益は会社の負担を減らすために使ったことになります。
これも堅実なお金の使い方です。
すこし注意しておきたいお金の使い方としては、借り入れをして不動産や株式に投資した場合です。
会社経営にはリスクをとってお金を投資にまわした方が良いときがあります。
今期がこれに当てはまるかどうか、再確認しておきましょう。
まとめ
お金の動きは損益計算書と貸借対照表だけでは分からないこともあります。
簡単ですから、キャッシュフローの点検もかならず行なうようにします。