競争と保護
原材料の高騰や人件費の上昇などで経営環境が厳しい中、多くの中小企業でゼロゼロ融資(新型コロナ対策の実質無利子・無担保の融資)の返済が始まります。
企業間や産業における競争と保護のバランスは、経済の成長と安心安全な社会の実現に向けて不可欠な要素です。
市場経済の基本は競争であり、競争は企業や産業に成長やイノベーションを促します。
しかし、過度な競争は市場の寡占化を招き、多数の経済的弱者を世の中に生み出します。
一方、保護は競争に敗れた経済的弱者を救済して、社会の混乱と人びとの不安を防止します。
ですが、過度な保護は企業の新陳代謝と産業のイノベーションを阻害して、経済の低迷に繋がる恐れもあります。
いつの時代でも競争と保護をどのようなバランスで両立させるは難しい問題です。
日本は当分の間、少子高齢化が進んで人手不足の状態が続きます。
持続的な雇用は必要ですが、単なる雇用の受け皿となる企業の存続は経済の成長を妨げることになります。
厳しい競争に打ち勝ち、しっかり稼いで生き残れる企業こそが、経済成長と安定雇用の両立を実現することができます。
企業は一時的な救済の時間を浪費せず、厳しい競争に復帰するための体力を養う機会にしていくことが重要です。