無駄と余力
会社経営では、出来るだけ無駄な人員を抱えず、仕事量に応じて必要な労働力を確保する体制が好ましいとされます。
なかでも競争力を生まない業務は、会社に人を雇わずに外注やアウトソースで対処するのが良いとされます。
とはいえ、実際に業務の外注やアウトソースを積極的に行うのは、業績が良い会社よりも業績が悪い会社です。
会社は、業績が悪いときは、目先のコスト削減を最優先にするため、将来必要になるかもしれない余力まで削減してしまうことが少なくありません。
しかし、近年の人手不足が長引くにつれて、慢性的な繁忙が労働者に悪い影響を及ぼし、会社の活力を奪うことがわかってきました。
社員が忙しくて自分の仕事に十分な時間を掛けることができない状態は、社員に対して、ミスは許されないという心理的ストレスを与えることになります。
また、何らかの事情で仕事の中断や遅れが生じたり、急ぎの仕事が舞い込んだりすると、その遅れを取り戻すために連日の残業や休日の勤務が求められます。
こうした状態が長く続けば、徐々に社員のやる気をなくすだけでなく、やがては社員の離職率を高めることに繋がります。
会社が人手不足で困っているときに必要な人材が都合よく雇えるほど、現在の日本の労働市場は豊富ではありません。
経営者は、コストの削減を過度に追求して、将来必要になるかもしれない余力まで削る行為が、いずれ高い代償になるかもしれないことを十分認識すべきです。
持続可能な会社には常に適正な余力があります。
自社にとって、どこまでが適正な余力で、どこからが削っても良い無駄か、経営者は常に考えて人員を確保しておかなければいけません。