インフレ時代の到来

物価の上昇や賃上げの動きに世の中の注目が集まっています。

日本はバブル崩壊後のデフレが長く続いたため、新型コロナ後やウクライナ侵攻後のインフレには不慣れです。

日銀は22日の金融政策決定会合で大規模金融緩和の維持を決めました。

会合後の記者会見で植田日銀総裁は、政策変更の時期や具体策について、経済や物価をめぐる不確実性が極めて高く、到底決め打ちはできないと述べています。

日本でのインフレの継続には、専門家を含め、多くの人が、いまだ半信半疑の状態といえます。

しかし、世界が抱える幾つかの大きな問題を考えるとき、日本でのインフレにも現実味が増してきます。

インフレに影響する問題の一つは、世界的な地政学リスクの高まりです。

エネルギーと食糧の価格は、ロシアのウクライナ侵攻後、大きく値上がりしました。

米中対立に代表される民主主義国と権威主義国との経済の分断は、経済効率よりも安全保障を重視する結果、コスト増を生むことに繋がります。

また、新型コロナ後に加速した脱炭素の動きもインフレの問題に関係してきます。

脱炭素化の移行期はエネルギーの供給が不安定になるため、エネルギー価格は上昇しがちです。

実際、欧州ではロシアのエネルギー依存を減らすため、積極的に脱炭素化を進めた結果、エネルギー価格の上昇が顕著となりました。

さらに、人手不足等による賃金の上昇もインフレに影響を及ぼします。

先進国での少子高齢化による労働人口の減少や企業と労働者の間の労働条件のミスマッチ、新興国の経済発展にともなう外国人労働者の流入減などが、企業の人手不足を年々悪化させることになります。

もちろん、テクノロジーが進歩して今まで以上に自動化や省力化が進み、人間の仕事を代替できる手段は増えていくでしょう。

また、経済安全保障や脱炭素化の分野でも、経済効率を追求する動きがどんどんでてきます。

ただ、いずれにせよ、これらの大きな問題が順調に解決されなければ、間違いなく日本にもインフレが到来することは頭に入れておくべきです。

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