税金の滞納
国民に適正な納税をお願いする立場の財務省の副大臣が過去に固定資産税を滞納していた問題では、野党から即時辞任を求める声が上がっています。
固定資産税(都市計画税を含む)は、土地や建物の所有者に対して毎年課される税金ですが、税率は概ね1.4%(都市計画税は0.3%)と低いため、決して納付が困難な税金ではありません。
報道によると、財務副大臣は2013年以降に4回の固定資産税の滞納があり、自分が代表を務める会社のビルを4回差し押さえられています。
日本国憲法は第30条で国民の納税の義務を定めており、第26条第2項の教育の義務、第27条第1項の勤労の義務とあわせて国民の3大義務と呼ばれています。
税金を定められた納期限までに納めなかった者は滞納者と呼ばれ、そのまま税金を滞納していると法令に基づき財産を差し押さえられることになります。
租税(国税・地方税)は、その重要性や特殊性に加え、徴税のための煩雑な手続が難しいことから、徴収職員には自力執行権(債務不履行があった場合に、債権者自らが、強制手段によって 履行があったのと同一の結果を実現させる権限)が与えられています。
そのため、徴収職員は裁判所の許可や判決がなくても滞納者の財産を差し押さえることができ、その際、滞納者に対して事前の連絡や同意は必要ありません。
とはいえ、納税者が税金を滞納したからといって、すぐに徴収職員が滞納者の財産を差し押さえるわけではありません。
通常、納期限を過ぎても税金を納めていない場合は、まず納税を促す督促状が原則として納期限後20日以内に税務署等から送付されます。
また、督促状が送付されたにもかかわらず滞納者が税金を納めない場合には、徴収職員が電話や文書、訪問によって督促をします。
そして、何度も電話や文書などで催促しても滞納者が納税しない場合に、財産の差押えをすることになります。
財産の差し押さえは、滞納者が所有する不動産、預貯金などの金融資産以外にも、自宅にある動産や第三者に対して有する債権も差し押さえの対象になります。
徴収職員による財産の差し押さえがおこなわれると、原則として滞納している税金を完納しない限り、差し押さえを解除することはできません。
過去に固定資産税を4回滞納して財産の差し押さえが4回もあるとなると、当時の副大臣には税金を納めるという意識が欠如していたとしか考えられません。
国民に適正な納税をお願いしている税務職員の毎日の仕事を考えると、副大臣の即時辞任はやむを得ないといえます。