商売の基本
中小企業には、良いものを安く売ることが商売の基本と考える人がいます
確かにその考え方はありますが、中小企業がこの考え方で突き進んでしまうと、先々商売が難しくなる場面が来ないともいえません。
そもそも、良いものを安く売るという考え方は、規模の小さな中小企業では限界があり、大量生産や大量仕入によるコスト低減が可能な大企業向きのものです。
また、海外には日本よりも安い人件費や安い原材料でモノづくりができる国があるので、輸入コストを加味しても国内で安く売ることができます。
近年、海外産の商品品質が向上したこともあり、多くの日本人が、海外産の商品価格に比べて、国産の商品価格が高いと感じるようになってきました。
このため、海外から良質で安価の商品が日本に入ってくると、類似の国産商品の価格を下げざるを得ないという状況が生まれつつあります。
日本の生産者からすると、良い商品なのに安い価格でしか売れない、すなわち、値上げしたら売れなくなる商品が、次々と生まれる状況に陥っています。
商品の価格は、商品を購入するために顧客が支払う対価です。
一方、商品の価値は、購入した商品が顧客に与える効果、機能、満足感です。
中小企業が、良いものを安く売ろうと突き詰めていくと、商品を安く作ることばかりに注力しがちです。
中小企業は、商品を高い価格で売れるように、商品の付加価値を上げろ、といわれますが、ここでの商品とは、高い価値のある商品のことを指します。
商売において、良いものを安く売ることは大事ですが、安く売ろうとするあまりに、良いもの(高い価値)を創ることを忘れてはいけません。