スタートアップ向け融資
企業のノウハウや知的財産、将来のキャッシュフローなど、現在は形のないものを担保にした融資スタイルが広まりつつあります。
背景には、設備や土地などの有形資産を持たないスタートアップを育成するには、従来の担保を必要とする融資とはまったく異なる新しい発想の融資が必要だからです。
今や世界の株式時価総額上位の大半はスタートアップが占めており、スタートアップの成長が世界の経済成長を支えているといっても過言ではありません。
日本でも、スタートアップが脱炭素や環境破壊、少子高齢化などの社会課題の解決に貢献し、新しい経済成長の原動力となることが期待されています。
金融庁は、昨年、金融機関向けの監督指針を改正し、金融機関が経営者の個人保証を求める場合、企業に対して個人保証の必要性などを具体的に説明することを義務づけました。
また、先週、経済産業省は、中小企業などが経営者の個人保証なしでも企業融資を受けられる信用保証制度の創設を発表しました。
新しい信用保証制度では、通常よりも高い保証料を企業が支払うことで、経営者の個人保証をなくすことができます。
経営者が会社の借金を肩代わりするリスクのある個人保証には、スタートアップが起業する際や思い切ったチャレンジをする際に融資を受けるのをためらう一因となることが指摘されてきました。
産業の主力が製造業の時代には、設備や土地などを担保に融資することはできますが、ITなどのサービス業が主流となる時代には、設備や土地を担保にする融資を変えていかなければなりません。
近年、少しずつですが、経営者の個人保証に依存しない融資スタイルは着実に増えています。
日本経済を立て直し、新たな成長軌道に乗せていくために、新しい産業分野を開拓してイノベーションを引き起こす、スタートアップが主役となる社会を早急に作り上げることが望まれます。