マイナス金利解除の備え

先週の外国為替市場では円高ドル安が進み、日経平均株価が一時大幅安になるなど、3月に日銀がマイナス金利の解除に踏み切るとの観測がマーケットを動かしました。

複数の日銀審議委員から2%の物価目標達成や賃金と物価の好循環について、強気の発言が相次いだためです。

お金は、より有利な条件を求めて常に動き回ります。

日本の円金利が低く、米国のドル金利が高い時には、より高い利回りを求めてお金は円資産からドル資産へと向かいます。

しかし、円金利とドル金利の金利差が急激に縮小するとみると、一気に逆の動きに転じることがあります。

今回は、円の金利上昇観測がドル売り・円買いの動きを一時的に強めた結果、為替相場を円高ドル安方向へと動かしました。

また、金利や為替の変動は当然、株価にも影響します。

株価が非常に高い企業や有利子負債の多い企業は、金利の上昇が株価の下落に繋がりますし、輸出企業の株価は、為替が円高になると下落する傾向があります。

さらに、金利の変動は、国の財政や国民の生活にも大きく影響します。

金利が上昇すると国債の利払いが増えるため、同じ税収ならば政府が政策に使えるお金が減少します。

国民の生活では、金利が上昇すると預金の収入が増える一方で住宅ローンの利払いが増えるなど、お金を持つ人と持たない人の経済格差を広げる要因となります。

植田日銀総裁は、マイナス金利を解除しても当面は低金利が維持されると繰り返し説明しています。

日銀のマイナス金利解除は、金利がある世の中の入り口に過ぎません。

植田日銀総裁の言葉を鵜吞みにせず、金利上昇に備えて出来ることは、早急に着手すべき時期といえます。

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