後継者問題の決断時期
中小企業の経営者の高齢化が年々進んでいます。
しかし、経営者に子供がいないケースや、将来不安から子供が会社の引き継ぎを拒むケースなど、後継者が決まらない理由は様々です。
もしも後継者が決まらないまま、経営者に万が一のことがあった場合には、会社の運営が困難となり、従業員の雇用の継続や取引先の資金繰りの悪化など、関係者に悪影響をもたらすおそれがあります。
国は、こうした現状を懸念して、M&Aによる事業承継の支援強化を進めてきました。
近年はようやく、後継者不足に悩む中小企業の選択肢として、M&Aという手法が浸透しつつあります。
経営者の親族、会社の従業員が後継者とならない場合は、会社をいずれ廃業するか、M&Aで第三者に会社を売却するかのどちらかを選択することになります。
第三者に会社を買い取ってもらえれば、従業員の雇用を継続できたり、会社が築いた技術やノウハウを存続できたりします。
一方、M&Aは、買い手にも一から事業を立ち上げたり、経営改善をするための時間とコストを節約できるメリットがあります。
M&Aが時間を買う戦略だとよくいわれますが、事業活動中の会社を買うことで、会社が成長するための時間を大きく短縮できるのです。
もっとも、M&Aでは売り手にも買い手にも、最適なタイミングというものがあります。
M&Aのタイミングが良ければ、想定以上の条件で会社を売却することができたり、最良・最善の買い手と遭遇することもできます。
反対に、M&Aのタイミングを間違うと、想定以下の条件でしか会社を売却することができなかったり、最終的に買い手が見つからず、廃業に追い込まれてしまう場合もあります。
後継者問題に悩む経営者は、後継者を見つけるか、第三者に会社を売却するか、それとも廃業するか、それぞれ最良のタイミングを逃さずに決断していくことが重要です。