ステークホルダーの期待
先週の東京株式市場では日経平均株価が最高値を更新しました。
上場企業の株価は、投資家の期待によって大きく動きます。
新しい事業への挑戦や将来の成長戦略が評価されれば、業績が追いつく前に株価が上昇することも珍しくありません。
経営者にとっては、投資家の期待が資金調達や企業価値向上の追い風となる一方で、その期待を裏切ると株価急落という事態に直面します。
上場企業の経営者は、将来への期待というものに対して緊張感を持って向き合うことになります。
一方、非上場の中小企業には市場で取引される株価が存在しません。
上場企業のように株主の期待が数字(企業価値)となって見えることはなく、ややもすると将来の期待に対して鈍感になりがちです。
しかし、非上場の中小企業でも経営者が将来の期待を感じ取り、その期待にどう応えていくか、真摯に向き合うことで緊張感は生まれます。
顧客や取引先、従業員などのステークホルダーは、露骨な反応は見せないものの、企業の未来について常に意識します。
たとえば、この会社なら将来も安心して取引できる、この会社は新しいことに挑戦しそうだ、そうした期待が取引の継続や人材の定着に繋がるのです。
目には見えなくても、ステークホルダーからの信頼や期待をしっかりと感じ取ることができれば、経営者は緊張感を持ってステークホルダーに向き合うことができます。
上場企業の経営者が株式市場を通して投資家の期待に応えるように、非上場企業の経営者もまた、周囲のステークホルダーの期待を意識することで、企業を持続的な成長に導くことができます。