マイナンバーの活用
個人の所得を正確に把握することは、簡単ではありません。
一般に日本では、会社員と自営業者などの間で所得の把握に大きな差があるといわれています。
会社員の所得(給与所得)は、勤務先の会社が給与計算を行い、年末調整を通じてその年の税額が確定します。
そのため、税務当局は会社から提供される情報によって、会社員の所得(給与所得)を正確に把握することができます。
一方、自営業者やフリーランスは、本人がその年の所得(事業所得など)を計算して税務当局に申告するため、個人によって収入や経費の計算方法が異なり、所得の把握にバラツキが生じます。
このような個人の所得の把握の差は、時には税の公平性を揺るがすだけでなく、社会保障事務にも支障をきたします。
たとえば、個人の所得を基準にして社会保障の支援額を決定する場合は、本当は経済的に困っていない人にも支援が流れていく可能性があります。
国民一人ひとりに、効率的に社会保障の網をかける上では、個人の所得の正確な把握が必要です。
今後、正確かつ効率的に個人の所得を把握する手段として、マイナンバーの活用拡大が予想されます。
すでに、給与や年金、証券取引などの情報はマイナンバーを通じて税務当局に集約されています。
近い将来、個人情報のセキュリティ対策や透明性の高い運用ルールがきちんと整備されれば、マイナンバーの活用は銀行口座やキャッシュレス決済などの社会インフラに広がることになります。
税務当局が、マイナンバーを通じて個人の所得に関する情報をリアルタイムに入手できる日は、意外に遠くないのかもしれません。