法人設立の基本的な考え方

ひとりで事業をおこなっていくのであれば、個人事業を選ぶのがよいでしょう。

しかし、将来は従業員を雇って長期に事業をおこなうのであれば、どこかで法人の設立を考える必要があります。

法人の設立は、単なる節税やコスト増などのメリット・デメリットで判断するのではなく、事業の成長や長期継続を実現するための器として法人を活用する視点が大切です。

「ヒト」の視点

商品やサービスの価値をうみ出すものは何でしょうか?

答えはいろいろあると思いますが、もしひとつだけ選ぶとすれば、それは「ヒト」になるでしょう。

事業の成長や長期継続を実現するうえで、信頼できる優秀な「ヒト」を確保できるかはとても重要です。

人材の募集では、個人よりも法人の方が人を集めやすく、より優秀な人材を雇用できる可能性が高まります。

法人の場合は、国民健康保険や国民年金よりも保障の手厚い社会保険に、法人と従業員が保険料を折半するかたちで加入しますので、法人で働く動機づけになります。

「モノ」・「カネ」の視点

法律では法人と個人(出資者)は別の法人格になります。

したがって、法人の所有する資産や権利を個人(出資者)が自由にすることはできません。

また、原則として、法人の義務や債務は法人に帰属し、個人(出資者)が履行を求められることはありません。

事業が成長して必要な「モノ」や「カネ」が増えていく場合には、「モノ」や「カネ」が個人(出資者)とは別の法人格に帰属することで安全な取引が可能になります。

「事業継続」の視点

個人事業ではどんなに事業が順調でも、その事業を誰かに譲るときがやってきます。

法人では株式や出資持ち分などの有価証券を譲渡しますが、個人事業の場合には有価証券のようなものがないため、事業承継や事業譲渡という方法を用います。

しかし、事業承継や事業譲渡では、顧客や販路、ノウハウなどを引き継ぐことはできても、第三者との契約や許認可を引き継ぐことができないため、第三者との再契約や許認可の再取得などの手続きが必要になります。

また、事業用資産と個人用資産を混同使用している場合は、その状態では事業承継や事業譲渡をおこなうことができないため、事前に事業用と個人用に資産を切り分けておく必要があります。

担い手を交代しながら事業を継続するのであれば、どこかで法人化するのがよいでしょう。

まとめ

事業を将来は自分ひとりでなく、従業員を雇って長期におこなうのであれば、どこかで法人の設立を考えるのがよいでしょう。

法人の設立は単なる節税やコスト増などで判断するのではなく、事業の成長や継続を実現するために、経営資源(ヒト・モノ・カネ)や事業継続の視点で法人を活用することが大切です。

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