役員給与の注意点その2

株主と役員が同一の会社は、社長が自分の給与を自由に決めることができます。

こうした会社で、もし期中に役員給与の金額を自由に増減できるとしたら、会社の所得を調整することが可能です。

そのため、税法は原則として、役員給与の金額を期中に変更することを認めていません。

役員給与を支給するときは、以下の点に注意しましょう。

支給の方法

役員給与を損金にするには、つぎの定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当しなければなりません。

ただし、株主と役員が同一の同族会社は、業績連動給与以外の、定期同額給与か、事前確定届出給与のどちらかを選択します。

定期同額給与

事業年度を通じて毎月同じ金額を支給する役員給与です。

給与の金額は、事業年度の開始から3ヶ月以内であれば自由に変更することができます。

税務署への届け出が不要なため、多くの会社が採用する役員給与の支給方法です。

事前確定届出給与

あらかじめ決められた月に決められた金額を支給する役員給与です。

毎月の定額給与のほかに、特定の月だけ特別な金額を支給する場合などに適します。

決算後の株主総会や取締役会の日から1ヶ月以内に、支給時期や金額などを税務署に届け出る必要があります。

また、届け出のとおりに役員給与を支給しないと損金にすることはできません。

業績連動給与

上場会社が有価証券報告書にあらかじめ役員給与の計算方法を記載して、その方法にもとづいて支給する役員給与をいいます。

金額の事前の見積もり

役員給与は、支給を開始すると期中に金額を変更することができません。

したがって、毎月いくら支給するのか、慎重に検討する必要があります。

通常は、前期の役員給与の金額や当期の業績予想をもとに役員給与の金額を見積もります。

すこし厳しめの売上予測や保守的な原価、経費の試算をもとに見積もる方が無難です。

やむを得ない場合の金額変更

税法は、損金に算入できる役員給与の支給方法を上記の3つに限定していますが、期中に役員の地位や職務が大きく変化した場合や、会社の経営状況が著しく悪化した場合には、例外として役員給与を変更することを容認しています。

ただし、あくまでも例外のため、社長が急病のために非常勤役員になるケースや、倒産の危機に瀕して取引銀行から役員給与の減額を要請されたケースなど、役員給与の金額を変更するに足りる客観的事情が必要です。

国税不服審判所の裁決には、経常利益が前期比で6%減少したことを理由に役員給与の金額を減額したところ、変更するに足りる特別な事情がないとして否認されたケースがあります。

期中に役員給与を変更する場合は、変更するに足りる客観的事情を慎重に検討しましょう。

まとめ

税法は、役員給与の支給方法を3つの方法に限定して、原則として期中の金額変更を認めていません。

役員給与を支給するときは、当期の業績予想などをもとに金額を慎重に見積もり、期中の金額変更はできだけおこなわないようにしましょう。

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