役員退職金の注意点

役員が受け取る退職金は、退職所得として税務上の優遇措置をうけることができます。

退職金を支払う法人に資金の余裕がある場合は、役員退職金が高額になりがちです。

税務上は不相当に高額の役員退職金は、損金に算入することができません。

役員退職金の支給額を算定する際には注意が必要です。

一般的な算定方法

役員退職金の算定方法として、中小企業でもっとも使われている方法は、功績倍率法です。

功績倍率法では、役員退職金の支給額をつぎのように計算します。

役員退職金の支給額 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率

たとえば、退職直前の役員報酬が月額100万円、役員の勤務期間が20年、功績倍率が3倍の場合は、

役員退職金の支給額は、100万円 × 20年 × 3倍 = 6000万円 となります。

ただし、この方法は会社が役員報酬と功績倍率を自由に決めることができるため、支給額が問題となることがあります。

適正額の算定

役員退職金が不相当に高額であると問題になる場合は、功績倍率が争点となるケースが多いです。

社長が退職する場合は功績倍率が3 倍までは大丈夫とよくいわれます。

論拠として、昭和56年11月18日の東京高裁判決(社長の功績倍率3倍を容認)があげられます。

しかし、同じ功績倍率でも否認されたものがありますので、この指標が絶対というものではありません。

たとえば、退職直前の役員報酬月額200万円・功績倍率3倍と、役員報酬月額100万円・功績倍率6倍は同じ支給額です。

役員退職金を増やすために、退職直前の報酬月額を大きく増額したり、功績倍率を大きくすることは控えるのがよいでしょう。

退職金には、長年の継続勤務に対する報償や労働の対価の一部後払いの性質があるといわれています。

将来の退職に備えて早い時期から、役員報酬を計画的に支給すること、功績倍率を含む規定の文書化などをおこなっておきましょう。

まとめ

役員が受け取る退職金は、退職所得として税務上の優遇措置をうけることができます。

将来の退職に備えて早い時期から、役員報酬を計画的に支給すること、功績倍率を含む規定の文書化などをおこなっておきましょう。

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