脱炭素経営の意義
原油価格の高騰によって軽油やガソリンが値上がりしています。
世界的に脱炭素化の動きが強まる中、価格の高止まりが心配です。
中小事業者の経営にとって、エネルギー価格の上昇は大きなマイナスです。
しかし、自ら進んで脱炭素に取り組むことは、他社との差別化を図るうえで意義があります。
エネルギー価格の高止まり
なぜ、原油価格は高騰しているのでしょうか。
今回は、LNG(液化天然ガス)の価格高騰がきっかけといわれています。
もともと、LNGはCO2の排出量が少なく、硫黄酸化物の排出もないため、ヨーロッパなどの環境先進国では高い需要があります。
これに、中国の需要増加(石炭の代替エネルギー)とロシアの供給制約(政治的事情?)が加わり、LNGの需給がひっ迫したことで急激な価格上昇がおこりました。
すると、今度はその影響で、LNGの代替エネルギーとしての原油需要が増加して原油価格の高騰を招いたわけです。
ただ、原油価格の高騰は一時的ではないといわれています。
理由は世界的な脱炭素化の動きにあります。
以前は、原油価格が高騰すると、アメリカのシェールオイルの生産量が増加して、原油価格の上昇を抑制するはたらきがありました。
しかし、バイデン政権による温室効果ガスの排出削減と、ESG投資(財務だけでなく環境・社会・ガバナンスも考慮した投資)に基づく事業の選別によって、シェールオイルの生産量は以前のようには増えなくなっています。
今後も、世界的な脱炭素化の動きは続くため、エネルギーの需給ひっ迫による価格高止まりが予想されています。
脱炭素経営の推進
脱炭素化の動きは、脱炭素に前向きな会社を評価する一方、後ろ向きの会社を批判します。
たとえば、CO2の排出量の多い産業や会社は、世論や金融機関、投資家などから厳しい目でみられ始めています。
また、若者を中心にSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が広まると、一般消費者も持続可能ではない事業活動を評価しません。
こうした状況は、他に先んじて脱炭素化に動く会社に有利にはたらきます。
たとえば、BtoBでは、環境意識の高い取引企業に対して、自社のCO2削減や省エネ成果を説明することで、ビジネス相手としての優位性をアピールできます。
同様に、世の中に対して脱炭素化の取り組みを積極的に発信することは、会社の認知度の向上になります。
また、会社が気候変動という大きな社会課題の解決に積極的に取り組むことで、社員のやる気や優秀な人材の確保に結びついていきます。
こうしたメリットを考えると、脱炭素を積極的に進める経営の意義がみえてきます。
まとめ
世界的に脱炭素化の動きが強まる中、中小事業者の経営にとってエネルギー価格の上昇は大きなマイナスです。
しかし、自ら進んで脱炭素に取り組むことは、他社との差別化を図るうえで意義があります。