今から考えておくべきコストアップ時代の到来
海外では、モノが値上がりするインフレの懸念が強まりつつあります。
国内でも、輸入食料品の値上がりやガソリン価格の高騰、人手不足による賃金上昇など、一部のモノの値段が上がりはじめました。
しばらくは、新型コロナ下の供給制約や経済再開時の需給の乱れから、コストの上昇が見込まれます。
今はインフレに程遠い状況ですが、円安の定着や人手不足の慢性化、脱炭素化の推進などから、コストアップ時代の到来を招く可能性があります。
会社の経営基盤に関わる問題なので、少しずつでも今から考えておく必要があります。
価格決定力の向上
慢性的なコストアップは商品・サービスの利益率を低下させ、会社の利益を減少させます。
失った利益を回復するには、商品・サービスをより多く売るか、より高く売るか、の2つです。
ただ、商品・サービスをより多く売ることはお勧めできません。
利益率には、事業から生じるリスクを吸収するバッファ(緩衝材)の役割があります。
このため、利益率を落としながら販売を増やす行動は、会社を危険な方向に向かわせます。
利益率低下の問題は、より多く売ることではなく、より高く売ることで解決する必要があります。
価格決定力とは、価格以外の魅力や独自性を顧客にアピールすることで、コストアップを価格に転嫁する力のことです。
コストアップ時代に備えるには、自社の価格決定力の向上が不可欠ということになります。
商品・サービスの見つめ直し
ただ、顧客から価格以外の魅力や独自性で商品・サービスを選んでもらうのは簡単ではありません。
モノが大量にあふれる現在では、自社と似たような商品・サービスは既に存在します。
このため、多くの商品・サービスが他社と差別化のしやすい、価格での勝負になりがちです。
一般に、価格以外の魅力や独自性というと、デザインの良さや高品質、希少性、ブランドなどが例にあがります。
ただ、これらは価格と違い、とても抽象的で、顧客からみて価値の存在がすぐに分かるものではありません。
ですから、価格以外の魅力や独自性を探すには、顧客に分かりやすく説明できる、自社の商品・サービスの価値とは何かを見つけることになります。
そもそも当社は、どのような顧客に、どのような商品・サービスを提供したいのか、その理由を原点から見つめ直すわけです。
答えのヒントは、事業者の本質的な欲求です。
顧客は、必ずしも満足しているからといって、商品・サービスを購入するとは限りません。
本当に欲しいモノは別にあるのに、顧客自身がまだそれに気づいていないことがあるのです。
そういう顧客に向かって、自社のやりたいことは何か、できることが何か、ということがはっきりと分かれば、自社の価格以外の魅力や独自性が何かも必ず見つけられます。
まとめ
輸入食料品の値上がりやガソリン価格の高騰、人手不足による賃金上昇など、国内でも一部のモノの値段が上がりはじめました。
今はインフレに程遠い状況ですが、円安の定着や人手不足の慢性化、脱炭素化の推進などから、コストアップ時代の到来を招く可能性があります。
会社の経営基盤に関わる問題のため、少しずつでも今から考えておく必要があります。