デザイン経営を考える
社会の様々な課題をビジネスで解決しようと試みる企業には、デザインの視点を経営に取り入れて成功している会社があります。
デザイン経営とは
特許庁は、企業経営にデザインの視点を取り入れる意義を、つぎのように説明します。
「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。
デザインには、構想、計画、設計、意匠など、さまざまな意味があります。
世の中の、まだ誰も知らないマーケットを開拓するには、融通無碍なコミュニケーションができる、デザインの視点が有用です。
デザインによる差別化
市場には様々な商品・サービスが溢れています。
選ばれるためには、商品・サービスの価値を顧客にしっかりと伝えることが重要です。
デザインは、商品・サービスをブランドとしてわかりやすく表現するときに、多く用いられます。
ブランドには 、独自の○○らしさがあり、デザインは○○らしさを表現するのが得意です。
顧客は、頭に○○をイメージすることで、他との違いを認識します。
そして、○○のイメージが強いほど、ブランドの価値は大きくなります。
もっとも、顧客が抱くブランドのイメージは様々です。
ときには、商品・サービスの価値ではなく、その見た目やサービスのスタイルに、ブランドの価値を感じてしまうことがあります。
商品・サービスの差別化は、独自にデザインされた見た目やスタイルではなく、独自の価値をデザインを通して顧客にしっかりと伝えていくことで達成されます。
デザイン経営の本質
社会に存在する課題が、ビジネスとなる社会ニーズとは限りません。
むしろ、その大半は、ビジネスで解決することが難しいものです。
デザインは自由です。
こうでなければいけないという決まりはありません。
ですから、デザインの描き手は、描きたい視点や描きたいモノを自由自在に変えていくことができます。
社会には、困っている人や不便を感じている人がたくさんいます。
そういう人たちの視点で住みやすい社会をデザインしてみると、自分たちの知らない、新しい社会、新しいビジネスのヒントがみえてきます。
まだ、ぼんやりとしかみえていないデザインでも、途中で手を止めて、何度も考え直し、少しずつ修正しながら、完成形に近づけていくことができます。
デザインの視点を経営に取り込むと、こうした自由自在な思考や取り組みを実際のビジネスで実践していくことが可能になります。