企業の成長と人材の多様化
急速に変化する事業環境に対応しながら、企業が成長していくためには、時には、従来の考え方を捨て、新しい視点で、経営を見つめ直すことも必要です。
その一例として、会社に多様な人材を取り入れて、その個性や能力を企業の成長につなげようとする取り組みがあります。
人材の多様化がもたらす変化
企業に多様な人材が加わると、これまでとは何が変わるのでしょうか。
一般に、その成果は、新しい商品・サービスの開発や、社内の業務プロセスの改革に役立つといわれています。
たとえば、既存の商品・サービスに、年齢や性別、人生経験や生活環境の異なる人の視点や価値観を取り込むことで、これまでとはひと味もふた味も違うモノに変えることができます。
社内の業務プロセスにしても、従来とは違う発想や考え方で見直すことは、無駄な仕事や足りない仕事の発見につながり、業務の改善や抜本的な改革を進めるきっかけになります。
人材の多様化がもたらす変化は、当たり前と考えていた物事に疑問を投げかけて、より良い答えや別の答えを模索する動きを引き起こします。
かりに答えが見つかったとしても、今すぐ変えるのが良いのか、暫くは変えないのが良いのかは、ケース・バイ・ケースで判断するのは難しいものです。
当然、最後の決まるまでには、多くの労力と時間がかかり、時には意見の対立から社内の軋轢を生むことさえあります。
トップマネジメントは、人材の多様化がもたらす変化が、組織の一体化を妨げてパフォーマンスを落とさないように、しっかりと手を打たなければなりません。
トップマネジメントの役割
企業が多様な人材を抱えて、その一人一人が伸び伸びと働き、成果を出すことは、簡単にできることではありません。
トップマネジメントは、なぜ自社に多様な人材が必要なのか、社員一人一人が理解して納得できるように、自分の言葉でその理由を説明していく必要があります。
社員が、自らの個性や能力を存分に発揮して、主体的に仕事に取り組むと、必ず他の社員と衝突してしまいます。
トップマネジメントは、社員の意見の衝突が、お互いを傷つけることのないように、ルールや仕組みを用意して、セーフネットを構築しなければなりません。
時間をかけても、意見の対立が組織の一体化を阻害しない風土を定着させることで、社員は安心して自分の考え方ややり方を主張し合うことができるようになります。
急速に変化する事業環境に対応しながら、企業が成長していくためには、個人の違い認めて尊重する価値観を社内に浸透させることが重要です。