需要の創出
欧州中央銀行(ECB)は、9月8日に政策金利を0.75%引き上げて年1.25%にすることを決めました。
7月下旬の米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げに続き、欧米では金融の引き締め姿勢が鮮明です。
背景には、新型コロナ禍での需給の不均衡と、ロシアによるウクライナの軍事侵攻による、商品・エネルギーの急激な価格上昇があります。
日本では、まだ、欧米のような物価上昇はありませんが、日米金利差拡大による円安が続くと、輸入品を中心に価格の上昇圧力が強まります。
良いインフレと悪いインフレ
私たちが購入する商品・サービスの価格が上昇することをインフレといいます。
そして、インフレには、良いインフレと悪いインフレがあります。
良いインフレは、商品・サービスの価格が上がることで企業が儲かり、その結果、社員の給料が増えて消費が拡大していき、さらに企業が商品・サービスの販売を増やすという、生産と消費の好循環を生み出します。
一方、悪いインフレは、商品・サービスの価格が上がることで企業の売上が減少してしまい、その結果、社員は給料が増えずに消費を節約するようになって、さらに商品・サービスが売れなくなるという、悪循環をもたらします。
ここ最近、スタグフレーションという言葉を見聞きしますが、スタグフレーションとは、ここでいう悪いインフレのことです。
日本では長らくデフレが続いていて、今のところ欧米のようなインフレとは無縁ですが、このまま、世界の分断による供給制約と、大幅な円安による輸入価格の上昇が続くと、日本はデフレからいきなりスタグフレーションに突入するリスクも指摘されています。
顧客潜在ニーズの探求
企業にとっては、デフレにしろ、スタグフレーションにしろ、自社の商品・サービスが売れないことが大きな問題です。
多くの企業が売れる商品・サービスを作り出せないのは、新しい世の中のニーズに応えていないからだ、という意見があります。
商品・サービスが売れるには、需要が供給を上回ることが必要です。
たとえば、人気の商品・サービスに顧客の注文が殺到するような状態です。
世の中が新しく変わるということは、過去の商品・サービスがダメになって、新しい商品・サービスが必要になることを意味します。
新しい商品・サービスがどのようなものかは、顧客が抱えている悩みや不安の中に、おそらくヒントがあります。
企業にできることは、顧客が抱えている悩みや不安を徹底的に調査して、顧客の潜在ニーズを見つけ出すことです。
自社の強みが発揮できるニッチな分野に着目して、顧客の潜在ニーズを探求し続けることが、新しい商品・サービスへの近道に繋がります。