外国人の視点
政府・日銀は、先週1ドル=145円台後半まで円安が進んだことを受けて、24年3か月ぶりとなる、ドル売り円買いの為替介入に踏み切りました。
円安になると、外国の人は自国の通貨で、より安く日本のモノを買えるようになります。
日本は、少子高齢社会に突入して、人口の減少とともに経済が縮小していきます。
円安で、日本での観光や買い物が安いと感じる外国人が大勢来日して、国内での消費を増やしてくれれば、縮小する経済に歯止めをかけることができるかもしれません。
岸田首相は、先週、米国ニューヨークで開催された日本食のイベントで、新型コロナの水際対策を10月以降に緩和する方針を明らかにしました。
今後は、海外からの入国者数の上限撤廃や、個人旅行客の入国解禁で、新型コロナと共生しながら、外国人観光客のインバウンド消費をいかに増やすかが課題です。
外国人インバウンド消費の成功事例では、毎年多くの外国人観光客が訪れる北海道ニセコが有名です。
元々、ニセコは、ウィンタースポーツが有名ですが、夏にはこれといったウリがなかったそうです。
そこで、ニセコのパウダースノーと自然に魅了されて移住してきた、あるオーストラリア人が、冬のスキーやスノーボードに加えて、夏に楽しめるラフティングツアーを始めたそうです。
彼は、ニセコの魅力を海外に発信していき、やがて、オーストラリアや欧米に口コミが広がったことで、ニセコは、一年中観光が楽しめる場所として外国から認知されました。
ニセコの事例は、外国人に映る日本の魅力と外国人観光客の潜在ニーズを上手に結び付けたものですが、成功のウラには、外国人目線での観光地づくりがあります。
現地の看板やサイネージが外国語表示だったり、お店のメニューや接客でも外国語対応ができていたりして、多くの外国人が満足する環境を整えています。
日本人には当たり前に見えるモノでも、外国の人の視点で見ると新たな発見が生まれて、そこからビジネスチャンスに繋がる可能性があります。
今後、外国人によるインバウンド消費を、日本で長続きするビジネスとしていくためには、外国人を単なる観光や買い物目的で来日した人と見るだけでは不十分です。
彼等が遠方からわざわざ来日して、日本で一体何を得ようとしているのか、地域資源や商品・サービスの発見者として、彼らの声を真剣に聞くことが大切です。