日本の財政問題

先週、政府は物価高対策などを盛り込んだ総額29兆円余りの総合経済対策をまとめました。

来月11月には、一般会計の補正予算案を国会に提出して、年内の予算成立を目指しています。

国の財政については、早急に健全化すべきという意見がある一方で、コロナ禍を引きずる今はその時ではないといった反対論が根強くあります。

日本の政府債務は、世界で最も高い水準にあるだけでなく、諸外国に比べて増加のスピードが速まっています。

財務省によると、今年度(令和4年度)末の普通国債残高は1,026兆円に上ると見込まれています。

これは、日本の総人口1億2,322万人に対して、一人当たり800万円を超える債務に相当します。

経済の専門家には日本の財政はまだ大丈夫で、政府はもっと財政出動すべきだと主張する人がいます。

彼らの理屈は、個人の金融資産が2,000兆円を超えていて、企業の内部留保と合わせた民間貯蓄で十分に政府債務を支えられるというものです。

確かに、政府と民間を一体と考えて日本全体で見れば、今なお資産が債務を上回る状態が維持できています。

ただ心配なのは、果たしてこの状態がいつまで続けられるのかという点です。

本来、企業は外部から借り入れを行い、積極的にリスクをとって事業に投資するものです。

しかし、ここ数十年間の日本の企業は、投資先を見失い、借入主体から貯蓄主体へと転じてしまいました。

日本の経済を今後成長させるためには、企業を本来の借入主体に戻す必要があります。

また、今は潤沢な個人の金融資産にしても、高齢者世帯の貯蓄の取り崩しは着実に進むため、決して安心することはできません。

日銀は政府が発行する日本国債を購入し続けていて、すでに日銀が日本国債の半分以上を保有しています。

もし不測の事態により金利が上昇して、日銀が保有する日本国債に巨額の含み損が発生することになれば、その後日銀が日本国債を買い取ることはできません。

ではその時、一体誰が日本国債を購入してくれるのか。

国の財政の問題は非常に大きなテーマです。

だからこそ、対応には用心が必要で、政府の残り時間は多くないと認識すべきです。

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