無為のリスク
会社が収益を上げるためには、経営者は事業リスクと向き合わなければなりません。
事業リスクには様々な種類がありますが、最終的には、会社が計画する損益が上振れたり下振れたりする結果にあらわれます。
事業リスクが大きければ、それだけ大きな利益や損失が発生する可能性が大きくなりますが、多くの人がリスクを損失が発生する可能性として捉えるので、リスクを取ることに危険なイメージがあります。
近年、中小企業の事業環境は、新型コロナウイルスの蔓延、ロシアの軍事侵攻、円安・資源高による物価上昇、社会のデジタル化、ライフスタイルの多様化などで、大きく変化しています。
多くの中小企業が、こうした事業環境の変化に追いついていけずに、自社のビジネスモデルの先行きに不安を抱いています。
とくに、利益が出ている会社や一つの事業を長く営む会社ほど、自社のビジネスモデルの転換が難しく、そうした会社は、経営者が将来に不安を感じながらも、まだ切迫した状況に追い込まれていないため、思い切った決断を先送りしがちです。
かりに、社員から何か新しい提案があるとしても、本当に大丈夫か?、と石橋を叩くうちに提案は自然消滅していきます。
大きな変化を前にして、何もしないでいることにリスクがないわけではありません。
むしろ、短期的な失敗のリスクを避けるあまり、将来の競争に負けるかもしれないという長期的なリスクを抱えることになります。
会社が収益を上げ続けていくためには、経営者は事業リスクを取り続けなければなりません。
リスクは、大きすぎると失敗した時のダメージが酷くなりますが、様々な取り組みでリスクの大きさをコントロールすることは十分可能です。
変化する環境の下で、確実に生き残ることができるのは、変化し続けられる会社だけです。
事業リスクと上手に向き合い、変化する事業環境に適応すべく、自社のビジネスモデルの転換を決断していくことが重要です。