財源の確保
岸田首相が掲げる異次元の少子化対策が、国会で議論を巻き起こしています。
厚生労働省が昨年12月に発表した人口動態統計によると、2022年1月~10月の出生数は66万9871人となり、前年同期からは3万3827人減少し、過去最少となりました。
このペースが11月以降も変わらないとすると、2022年の出生数は80万人を下回ることになります。
少子化は、国の経済成長力を低下させると同時に、年金・医療・介護などの社会保障制度の根底を揺るがします。
そのため、岸田首相が少子化対策に力を入れるのは当然ですが、その財源の確保に責任をもたないとすれば問題です。
現在国会で議論している少子化対策は、給付の上乗せや対象範囲の拡大のため、国の財政支出はかなりの金額に上ることが予想されます。
防衛費の増額の際には、日本の有事に備えるための防衛力の増強には賛成でも、それを賄うための増税には反対する意見が多くでました。
今回の少子化対策の議論でも、防衛費と同じく、増税反対の声に押されて財源の確保が後回しになり、安易な国債発行が続くとなると問題です。
すでに国の借金である国債は、その半分を日銀が保有するという異例の状態です。
今後も政府が予算を賄うために国債の増発を続け、その大半を日銀が買い入れるとすると、国の財政は大きな危機に突入します。
少子化対策や防衛力強化が、現在の日本の最優先課題であることは間違いありません。
しかし、そのことのみを優先して、不人気の財源問題を先送りすれば、いつか大変なことになります。
国の財政の健全化も待ったなしの状況です。
政府は将来の危機を招かぬように、少子化対策について責任をもって財源の手当てをしなければいけません。