免税事業者のインボイス対応

消費税のインボイス制度が10月1日からスタートします。

消費税のインボイス制度は、免税事業者(年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者)の手元に残る、消費税の益税を無くすために実施されます。

10月1日以降、免税事業者は、顧客から受け取る消費税を国に納付するか、それとも顧客(課税事業者に限る)から消費税を受け取らないようにするか、どちらかを選択しなければなりません。

免税事業者の多くは、家族だけの小さな会社や、フリーランス、一人親方などの個人事業主です。

免税事業者の収益基盤は脆弱なため、消費税の納付や消費税分の売上喪失が事業の継続に深刻な影響を与える可能性があります。

国は、令和5年度の税制改正で、インボイス制度によって影響を受ける小規模事業者を一定期間救済するために、消費税の納税負担を小さくする経過措置の導入を予定しています。

具体的には、免税事業者がインボイス登録事業者(課税事業者)になった場合の納税負担を軽減するため、法人の場合には令和5年10月1日〜令和8年9月30日を含む事業年度について、個人の場合には令和5年分の10月~12月の申告から令和8年分の申告までについて、課税売上高にかかる消費税額の2割を消費税の納税額にできるというものです。

例えば、年間の課税売上高が880万円(消費税率10%)の飲食業の場合には、仕入や経費にかかる消費税の実額が30万円とすると、消費税の納税額は80万円から30万円を差し引いた50万円が原則になります。

また、簡易課税制度を選択すれば、飲食業のみなし仕入率60%を適用して、納税額を80万円から48万円(80万円×60%)を差し引いた32万円まで減らすことができます。

しかし、今後導入予定の経過措置では消費税の納税額を80万円の2割の16万円まで、更に減らすことが可能です。

もちろん、インボイス制度開始後も、これまでどおり免税事業者のままでいることもできます。

その場合には、消費税の課税事業者である顧客に対しては消費税を請求することができなくなりますが、独自の商品・サービスを提供したり、プラスαの付加価値を上乗せすることで、失う消費税分を値上げでカバーすることができるかもしれません。

消費税のインボイス制度は、収益基盤の脆弱な免税事業者の経営に大きな影響を与えます。

免税事業者は、今後導入予定の経過措置を適用したり、自らの商品・サービスに工夫を加えることで、その影響を軽減する準備をしなければいけません。

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