人手不足の深刻化

昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比プラス4.0%となり、第2次オイルショックが発生した1981年12月以来、41年ぶりの上昇率になりました。

世界的な食糧・エネルギーの価格高騰に加え、内外の金利差拡大に伴う円安が、国内物価の上昇に拍車をかけています。

大企業の春闘では、組合要求に対して次々と満額回答が出ていますが、物価上昇分をすべて賄うまでの賃上げには至っていません。

新型コロナが落ち着き、経済活動が以前のように回復してくれば、企業の人手不足はますます深刻化していきます。

これまで企業は、若年層の不足は女性とベテランを活用することで、また、低賃金の仕事では外国人労働者を受け入れることによって、人手不足の問題に対処してきました。

しかし、新型コロナをきっかけに、ワークライフバランスを重視する労働者や、自らのキャリアを再構築してステージアップを考える労働者は着実に増えています。

また、外国人から見える日本の賃金は大幅に低下していて、日本は出稼ぎ先としての魅力を失い始めています。

今後は、企業が優れた人材を確保していくには、出産や育児などで働けない女性やフルタイム勤務を希望しないシニアに対して、産休・育休・復職などの制度を整備し、時短やフレックスといった柔軟な働き方を認めていかなければいけません。

また、企業が労働者の賃金を上げていくには、労働生産性を高め、企業が創出する付加価値を増やすことが必要です。

人手不足と労働生産性の関係では、人手が不足している企業ほど、業務効率の問題が原因で労働生産性が低くなっている点が指摘されています。

業務効率の改善には、IT投資や省力化設備導入、業務プロセスや会社組織の見直しなど、経営者がリーダーシップを発揮して解決できる領域が多く存在しています。

企業の人手不足の解決には、働き方や賃金のミスマッチの解消が近道です。

日本企業の人手不足は構造的な問題のため、企業自身が抜本的な見直しを実施していかない限り、当分の間、続く可能性が高いといえます。

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