外国人材
訪日外国人観光客が増加する中、宿泊業や飲食業を中心に人手不足が深刻化しています。
国立社会保障・人口問題研究所が4月26日に公表した将来推計人口によると、日本の人口は2056年に1億人を割り込み、2070年には現在の約1億2600万人から3割少ない8700万人になります。
日本は1960年代の高度成長期に人口ボーナス期を迎え、豊富な労働力が経済発展に寄与しました。
しかし、少子高齢化が顕著となった1990年代後半から人口オーナス期に入ったとされています。
人口オーナスとは、15歳から64歳までの労働人口がそれ以外の子供と高齢者の人口に比べて少ない状態をいいます。
人口オーナス期の特徴は、労働力不足が経済活動を停滞化させる一方で、高齢者の増加が社会保障費を膨らませるため、国の経済成長を阻害する原因の一つとされています。
日本の人口減少は今後も着実に進んでいくため、これから社会のあちこちに深刻な影響が生じてきます。
労働力不足の解決策では、海外からの移民の受け入れや優秀な外国人の採用が挙げられます。
政府も高度な知識や技能をもつ外国人材を国内に呼び込もうと、2022年6月に外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを策定し、2023年4月には政府の有識者会議が技能実習制度の廃止を求める提言(試案)をまとめるなど、外国人を国内の主要な労働力として認めつつあります。
とはいえ、現実は、外国人労働者が国内の主要な働き手となるには多くの課題があります。
近年は、アジア各国の経済発展がめざましく、日本に対する憧れがあるとしても、労働条件が自国や欧米、中国などと比べて劣っていれば、外国人労働者の獲得は難しくなります。
かりに外国人労働者が獲得できたとしても、日本語教育や通訳の設置、住まいの提供など、企業の経済的負担はかなりのものです。
また、外国人労働者の定着には日本人労働者の理解と協力が不可欠です。
企業は、日本人労働者が外国人労働者を差別したり、イジメたりしないように職場環境や労働者とのコミュニケーションに十分な注意が必要です。
企業が外国人労働者を受け入れることには大きな負担を伴います。
ですが、時間をかけて根気強く育てる覚悟があれば、会社の将来の成長に欠かすことができない優秀な人材を獲得する絶好の機会ということができます。