聞く力と伝える力
国葬実施、旧統一教会問題、防衛費増税など、岸田首相のリーダーシップに注目が集まります。
岸田首相は、丁寧な説明が重要だとして、繰り返し国民に語りかけますが、その説明には納得できない人が多いようです。
リーダーに求められる資質は多々あります。
その一つが、岸田首相が自分の長所と明言する、人の話を聞く力です。
誰しも自分の話を聞いてもらいたい、誰かに何かを伝えたいという思いがあります。
人の話を聞く力とは、そうした話し手の言い分を理解して不満や不安を解消するためのものといえます。
とはいえ、話を聞いたからといって、話し手の希望を全部かなえることなどできません。
人の話を聞くことと、その人の言い分を受け入れたり、不満や不安を解消してあげたりすることは別物です。
ただ、世の中には、話を聞いたら、そのとおりにしてくれると思う人もいます。
そういう人は、あの人は私の話をちゃんと聞いて理解してくれたのだから、これから私の言ったとおりに動いてくれるはずと思い込みます。
そして、もしも相手が自分の言ったとおりにしてくれないと、失望や裏切りといった悪い感情から、会話を避けたり、距離を置いたりします。
ですから、人の話を聞く際には、相手に対して、話を聞いたからといって、必ず希望どおりになるとは限らないことを気づかせる必要があります。
岸田首相は、日本の防衛力を強化するために防衛費を増額するのなら、その財源も一体で示すことが政治の責任だという持論を貫こうとしました。
これに対して、内閣や与党議員の一部からは、増税はもっと慎重にやるべきだ、賃上げマインドを冷やす発言は理解できないといった意見が相次ぎました。
多くの日本人は、増税せずに防衛費を増額することが持続可能ではないと気づいています。
ですが、厳しい現実を目の当たりにすると、できるだけ先延ばししたいという感情が先に出ます。
日本の将来は不確実です。
これから厳しい事態が予想されます。
リーダーには厳しい現実から逃げずに将来のビジョンを示して、その実現のための協力を相手に粘り強く伝えていくことが求められていきます。
これからの時代には、人の話を聞く力以上に、自分の考えを相手に伝えていく力が重要となります。