総論賛成・各論反対
社内会議が総論賛成・各論反対に陥り、結論が出ないことがあります。
多くの場合、議論の大枠に異論はないものの、いざ具体案を詰めようとする段階で異なる意見が噴出します。
お互い相手に理解してもらおうと議論を重ねますが、妥協点が見つからずに会議は先に進まなくなります。
総論賛成・各論反対の原因には、会議の議論が足りていないからだ、という意見があります。
しかし、それぞれの思いつきや思い込みで主張し合う議論には、どれだけ時間をかけても良い結論が出るとは考えられません。
そのような場合は、むしろ総論賛成となっている議論の大枠に立ち返り、もう一度最初からやり直すべきです。
たとえば、全員が賛成する、売上拡大という経営方針の大枠があるとします。
最初に、この大枠を全員で具体化しておかないと、各自が勝手に売上拡大の対象顧客、対象商品、目標達成時期などを考えることになります。
その結果、各自が考え出す具体案はバラバラです。
ですから、どんなに議論を重ねても妥協点が見つかるはずはありません。
一見、総論賛成・各論反対にみえる議論の多くは、実は、総論・各論ともバラバラという場合が多いのです。
全員が賛成する総論は決して同じではありません。
総論・各論ともバラバラな事態を避けるには、各論の起点となる総論の具体化を全員で深く議論しておくことが重要です。
他にも、会議が総論賛成・各論反対になるのを避けるには、会議の参加者がフラットな関係で議論できる状況が必要です。
一般の社員が、上司やリーダーと異なる意見を会議で発言するのは容易ではありません。
ですから、議論が煮詰まって、いざ自分の身に降りかかる状況になると、反対の意見を言い出す社員が現れるのです。
そんな時、そういう社員の反対意見を押し切って結論を急ぐことは禁物です。
社員が納得しない状態で結論を出して物事を実行しても、成功する確率は高まりません。
社員の納得度の大きさが物事の成功・失敗には大きく関係するのです。
会議では社員の意見をどんどん引き出して、参加者全員が十分に議論は尽くされたと感じることが大事です。
会議の参加者の合意の形成には、頭で納得すること以外に、気持ちで納得することも必要です。
参加者は、相手に自分の考えをわかりやすく説明すると同時に、自分がどのような気持ちでそう考えているのかを伝えることが重要です。
人は、頭で理解するだけでは本当に相手の考えを深く理解することはできません。
自分や相手がどうしてそう考えるのか、お互いの気持ちを理解しようと努めることが、全員が納得する結論に近づく早道です。