心配な円安の影響と対策

10月15日の東京外国為替市場では、円相場が一時1ドル=114円台となり、3年ぶりの円安・ドル高水準になりました。

一般に為替相場は、貿易、金融、国の政策など、様々な要因が複雑に絡むため、予測することはできません。

ただ、円安が不利にはたらく会社では、円安が長期化する場合の影響と対策を考えておくことは大事です。

経営への影響

仕入商品や原材料を海外から購入する場合は、円安になると購入代金がかさむため、仕入原価や製造原価が上昇します。

原価は売上をあげるために必要不可欠なコストですから、金額が高いからといって数量を減らすことはできません。

原価の上昇分は販売価格にうまく転嫁できないと、収益の圧迫要因となります。

また、国内で働く外国人労働者にとって、円安は実質的な賃金の低下を意味します。

円安になると本国に送金する給料が目減りするからです。

構造的な要因で円安が長期間つづくようになると、外国人労働者の採用に支障がでたり、賃金の引上げを検討する事態につながるかもしれません。

景気への影響

円安になると電気やガス、ガソリンなどのエネルギーや、食料品などの輸入価格が上昇するため、国民生活にも影響がでます。

とくに、給料よりも物価の上昇するスピードが速い場合は、個人の消費が落ち込むため、景気にはマイナスです。

産業全体からみても、円安が続くと輸出産業には以前のような円安メリットがなくなっているので、輸入価格の上昇分を国内価格にうまく転嫁できないと、業績を押し下げることになります。

円安の対策

円安が不利にはたらく会社は、円安の長期化に備えて、対策を考えておくことが大事です。

原価の上昇分を販売価格に転嫁できれば良いですが、デフレが続く状況で価格を上げるのは簡単ではありません。

おそらく、販売価格を値上げしていくには、販売する商品・サービスを、より顧客の好みやニーズに合うものに見直したり、他社とは明確に差別化をするなど、付加価値を上げる努力が必要になるでしょう。

一朝一夕にはできないので、時間をかけて準備していく必要があります。

会社によっては、事業の一部を見直すことが有効な円安対策になる場合もあります。

たとえば、国内販売しかしてこなかった商品を海外に輸出したり、新たに海外向けの商品を開発することは、有効な円安対策です。

また、以前のように訪日外国人の消費が戻ってくれば、商品・サービスを外国人向けにアレンジして提供することも有効です。

海外向けや外国人向けの販売は、円安によるコスト上昇分をすべて販売価格に転嫁できるので、円安対策として十分といえます。

今後も少子高齢化で国内人口が減少していくことを考えると、海外向けや訪日外国人向けの商品・サービスの開発は円安以外でも必要な対策といえるでしょう。

まとめ

10月15日の東京外国為替市場では、円相場が一時1ドル=114円台となり、3年ぶりの円安・ドル高水準になりました。

円安が不利にはたらく会社では、円安が長期化する場合の影響と対策を考えておくことが大事です。

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