会計検査院と税制改正
新型コロナで支給した助成金や支援金について、会計検査院が厚生労働省の申請データを調査したところ、あらたに約3億円の不正受給があることが判明しました。
支給した助成金や支援金のなかに、事実と異なる虚偽申請や助成金と支援金の重複支給、不自然に多額の支給などがあり、厚生労働省の確認が不十分なことが原因です。
会計検査院の役割
会計検査院は、国や法律で定められた機関の会計を検査して、会計経理が正しくおこなわれるように監督します。
国会や裁判所に属さず、内閣から独立した憲法上の機関です。
会計検査院が検査する対象は、国のほか、国が出資している団体や財政援助をしている都道府県、市町村、各種団体が含まれます。
当然、税務を所管する財務省は会計検査院の検査対象です。
住宅ローン控除の見直し
税制改正には、会計検査院の指摘に関係するものもあります。
たとえば、令和4年度の税制改正では、住宅ローン控除の控除率が1%から0.7%に引き下げられました。
この改正には、会計検査院が、実際の住宅ローン金利は1%を下回ることが多いという事実を指摘したことが背景にあります。
会計検査院の検査報告
会計検査院法第36条は、「会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」と規定します。
また、同法第29条第8項で、「第36条の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項及びその結果」は、検査報告に掲記することになっています。
会計検査院が、税務行政について「意見の表示」や「処置の要求」をした場合は、将来の税制改正の対象になりうるので、検査報告で内容を確認するのが良いでしょう。