予算編成と財政規律
国の令和7年度予算案の概算要求が8月30日に締め切られました。
高齢者の増加や安全保障の強化のため、社会保障費や防衛費の増額が見込まれており、一般会計の総額は今年度予算(112兆円)を上回る見通しです。
このうち、国債の償還や利払いに充てるための国債費は、日銀の金融緩和政策の転換による金利の上昇をみて 、29兆円弱の予算を見込んでいます。
財務省は、長らく予算上の国債の想定金利を1.1%に据え置いてきました。
しかし、今年度は予算の想定金利を1.9%に引き上げ、令和7年度予算案の概算要求では、さらに0.2ポイントプラスして2.1%としています。
その結果、これまで7兆円台で推移していた国債の利払い費は、今年度予算で9兆円余りとなり、令和7年度予算案の概算要求では11兆円弱にまで膨らんでいます。
すでに歳出に占める国債費の割合は、4分の1近くを占めています。
今年度末には、普通国債の残高は1,105兆円に上ることが予測されています。
今後、国債の償還費の増加に加え、利払い費が膨らんでいくと、必要な政策に振り向ける予算が不足する事態になるかもしれません。
鈴木財務大臣は、令和7年度予算案の概算要求について、「国債の利払い費の増加や人件費や調達価格の上昇などについて適切に対応しながら、これまでの歳出改革の努力を継続することで経済成長と財政健全化の両立をしっかりと進めていきたい」と述べました。
令和7年度は政府が掲げる財政健全化の目標年度です。
今後本格化する予算編成作業では、財政規律を十分に意識して、メリハリの効いた予算の査定が極めて重要になります。