共存共栄の取引関係
公正取引委員会による下請法違反の是正勧告が相次いでいます。
その目的は、中小企業が賃上げ原資を確保できるように、発注企業に対して下請企業からの価格転嫁要請を認めるように促すものです。
政府は賃上げと物価上昇の好循環の実現を目指しています。
そのためには、デフレ時代に築かれた発注企業と下請企業の一方的な取引関係を見直さなければなりません。
3月に日産自動車は、公正取引委員会から下請法違反の是正勧告を受けました。
その内容は、日産自動車が2021年1月から2023年4月までの間に、下請企業36社に対して、一度決まった支払代金から割戻金の名目で、総額30億円を超える減額を実施した事実が下請法違反にあたるとして、公正取引委員会が再発防止の是正勧告をしたものです。
下請法は、発注企業と下請企業の合意があっても、下請企業に責任がある場合などを除いて、発注金額から支払代金を減額することを禁じています。
日産自動車は、この是正勧告を受けて、法令順守と再発防止を徹底するとして、減額した代金分を下請企業に支払い、割戻金の運用を廃止しました。
しかし、その後に、テレビ東京が是正勧告後にも日産自動車が複数の下請企業に対して、支払代金の一方的な減額を強要している実態を報道すると、政界・財界から日産自動車を強く非難する声があがりました。
こうした下請法違反をめぐる動きをみると、発注企業と下請企業の取引関係は共存共栄であるべきという認識が、急速に広まっていることがわかります。