中国ビジネス
EU(ヨーロッパ連合)は、中国から輸入されるEV(電気自動車)に対する関税を最大35%強上乗せすることを決めました。
9月からは米国バイデン政権が、中国製EV(電気自動車)に従来の4倍の100%の関税を、また中国製鉄鋼・アルミ製品については従来の3倍以上の25%の関税をかけています。
米国は今後も、半導体や天然黒鉛、永久磁石、EV用以外のリチウムイオンバッテリーなどの関税引き上げを決めています。
こうした欧米の動きに対して、中国は、不公平で保護主義的な行為に断固反対するとして、関税引き上げ措置を非難しています。
現在の中国経済は、国内消費がGDP(国内総生産)の4割に過ぎず、残りの大半を不動産、インフラ、工場などへの投資と海外輸出が占めています。
ここ数年の中国では、国内の不動産市況が悪化して不動産会社による建設投資が激減したことで、国内の消費と生産需要が大きく減少して、経済成長には向かい風が吹いています。
中国国内の企業では、生産した商品を国内市場では売り切れないため、余った商品を大量に海外へ輸出することになります。
中国共産党は、ハイテク産業の育成強化を打ち出しており、半導体、通信、自動車といったハイテク関連の産業に対して産業補助金を支給しています。
中国共産党が支給する産業補助金の規模は、日本や米国などの政府が支給する補助金に比べると圧倒的に多額で、特定の産業に資金が流れ込んで過剰な生産を引き起こすほか、海外の企業買収や技術獲得の資金源とも指摘されています。
かつて米国は、中国を国際社会に取り込むことで中国の民主化が進むことを期待していました。
しかし現在は、過去のこうした政策が失敗と考えており、11月の大統領選挙の結果がどうであれ、米国が中国との対立姿勢を弱めることはありません。
かたや、中国でビジネスをしている中小企業にとっては、中国でのビジネスの依存度をいきなり下げることはできません。
今後は、米中対立による自社ビジネスへの悪影響を最小限に抑えつつ、脱中国に向けて、中国に代替するビジネスの展開を急ぐことが肝要です。