中国経済の回復
中国の景気回復が遅れています。
2023年4〜6月期のGDP(国内総生産)は、前年同期比プラス6.3%と高い伸び率ですが、その実態は新型コロナ禍の厳しい外出制限があった前年からの反動だといわれています。
実際、直近3か月のGDPの伸び率を見ると、プラスはわずか0.8%にとどまり、景気回復の勢いが急激になくなりつつあります。
中国政府は低迷する不動産市場をテコ入れするため、住宅ローン金利を引き下げる政策を打ち出しましたが、各地のマンション販売は振るわず、建設工事の中止や遅れが目立っています。
中国で個人の消費や投資が増えない理由は、若者を中心とする高い失業率や、民間企業の給料削減が背景にあるといわれます。
将来の見通しが立ちにくい状況は、多くの国民の財布のひもを固く閉めることになります。
中国政府は2023年に5%の経済成長の実現を目標に掲げていますが、これからどれだけ有効な雇用対策や所得対策を打ち出していけるかが、カギとなります。
中国は日本にとっての最大の輸出先であり、多くの日本企業が進出しています。
IMF(国際通貨基金)によれば、今年の世界経済の成長の半分は中国とインドが寄与する見込みです。
中国はアジアの中心市場であり、中国経済が減速すれば東南アジアやインドの経済も減速することになります。
欧米諸国が、インフレ退治のための金融引き締めで景気の減速が懸念される中、中国経済の回復の重要性は一層高まっています。
中国経済の回復の遅れが今後の世界経済や日本経済にどのような影響を及ぼしていくのか、しばらくの間は目を離すことができません。