価格決定の支配

外国人旅行客を相手に高額な商品・サービスを提供するお店が増えています。

その多くは、円安で外国人旅行客が高い金額でも払えると考えたり、富裕層は価値があるものなら値段を気にせずお金を払うと考えています。

特に、外国人に人気のお店は、外国人向けの高価格の商品・サービスが急増し、安価な日本人向けの商品・サービスが激減しました。

とはいえ、外国人向けの価格設定が、円安だから高くても大丈夫と考えるのは少し危険です。

商品・サービスの価格設定で大事なことは、外国人が「ここでしか体験できない」「ここでしか食べられない」と、お店の商品・サービスに他にはない価値を感じていることです。

商品・サービスの価値は、お店が様々な努力と工夫によって創り出します。

しかし、その創り出した商品・サービスが、どれだけの価値を持つかを決めるのは、顧客である外国人旅行客です。

一方、商品・サービスの価値は、金額にすると売上から原価を差し引いた粗利になりますが、粗利をどれだけ確保するかは、お店が価格を設定して決めています。

初来日の外国人旅行客は、今後リピート客となっていきます。

また、現在の円安が、今後は円高になることも十分あり得ます。

もしもそうなったとき、お店が以前と同じ値段で同じ商品・サービスを提供していたら、外国人旅行客は以前と同じように来店してくれるでしょうか。

おそらくなかには、もっと安い値段で同じ商品・サービスを提供するお店がないかどうか、調べる外国人旅行客がいるはずです。

商品・サービスの価格決定を顧客に奪われてしまうと、事業者が適正な粗利を確保することは難しくなります。

事業環境が変化しても、顧客が評価する価値の価格決定をどうやって支配し続けるのか、事業が好調なときにも考えることが、いざというとき必ず役立ちます。

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