不確実時代の意思決定

世界的なパンデミックがきっかけとなり、社会のデジタル化が急激に進んでいます。

ロシアによるウクライナの軍事侵攻では、世界経済の分断と脱炭素化の混乱を招いています。

世界の現在の状況は、ビジネスの未来の予測を非常に困難にしているといえます。

会社経営において、意思決定は重要ですが、従来の知識と経験をもとにする意思決定は、押さえるべきポイントと実行すべきプロセスが明確です。

そこには、意思決定を行う目的と根拠となる客観的なデータや事実が存在していて、最善と考えられる選択肢も限られています。

また、意思決定上の争点がハッキリしていることが多く、たとえば、メリットを最大にするか、デメリットを最小にするかなど、関係者の合意形成が比較的容易です。

つまり、多くの場合、選択の余地が小さく、誰が意思決定しても答えは大きく変わらないのです。

これに対して、ビジネスの未来が予測できない状況では、従来の知識と経験が通用しないために、意思決定は難しくなります。

自ら、押さえるべきポイントと最善の選択肢を考え出さなければならず、関係者の合意形成も一筋縄ではいきません。

新型コロナの感染拡大局面では、緊急事態宣言がいつ始まり、いつ解除されるのか、誰にもわかりませんでした。

会社経営では、そのような状況でも意思決定しなければならず、ことの難しさは記憶に新しいところです。

不確実な未来には、当たり前ですが、判断の根拠となる客観的なデータや事実が存在しません。

しかし、合理的な意思決定をするには、検討のための情報が不可欠です。

新型コロナの局面では、多くの会社経営者が、本当にいま決めなければならないのか、という疑問を抱きつつ、仕方なく意思決定をした場面が多いはずです。

さらに、従来の知識と経験が通用しないということは、関係者の合意形成を難しくします。

通常であれば、関係者の多様性や多角的な検討は意思決定時の利点です。

しかし、不確実な未来の事柄を決めるとなると、異なる意見や多様な価値観がかえって邪魔をして、争点が定まらないことになります。

したがって、そうした場面では、自分たちは今後どうしたいのか、将来どのようになりたいのか、という未来への強いビジョンが重要になります。

すなわち、自分たちの未来への強いビジョンが、従来の知識と経験、判断の根拠となるデータや事実に代わり、意思決定の際の決め手となります。

今後の不確実時代を乗り切るには、全社をあげて会社が進むべき道を示すビジョンを、早急に作り上げておくことが大切です。

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