45歳定年制と矢野論文にみる変化の捉え方の違い

最近、サントリーの新浪社長が提言した45歳定年制と財務省の矢野事務次官が寄稿した論文(矢野論文)が話題になっています。

どちらにも賛否両論があり、そこからは変化の捉え方の違いが見えてきます。

経営者は、事業環境や経営環境の変化に自分自身がどう向き合うべきか、参考にできるところがあります。

45歳定年制

9月の経済同友会の夏季セミナーで、サントリーの新浪社長は45歳定年制導入について、つぎのように話したそうです。

「日本を眠れる獅子のまま終わらせるわけにいかない、そのためには成長産業への人材移動が必要。企業の新陳代謝を高めるため、雇用市場は従来モデルから脱却しなくてはいけない。その一環として定年退職の年齢を45歳に引き下げる、個人は会社に頼らない、そういう仕組みが必要だ。」

この発言に対して、定年延長に逆行している、早期のリストラや解雇を誘発させる発言だ、として批判が起こりました。

矢野論文

財務省事務方トップの矢野次官は、文藝春秋11月号で日本の財政について、つぎのように述べています。

「今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです。タイタニック号は衝突直前まで氷山の存在に気づきませんでしたが、日本は債務の山の存在にはずいぶん前から気づいています。ただ、霧に包まれているせいで、いつ目の前に現れるかがわからない。そのため衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいるのです。」

雑誌の発売が衆議院選挙と重なり、各党の公約がまさに矢野論文のいうところの「バラマキ合戦」そのものだったため、大きな反響を呼びました。

変化の捉え方の違い

新浪社長と矢野事務次官の両者に共通するのは、日本の危機的状況をいかに乗り越えるべきか、という強い問題意識です。

世の中は何も無いように見えても少しずつ変化していて、気づけば大きな変化になっている。

こうした変化をきちんと理解して上手に対応していかないと、あとで大変なことになる。

両者にはそういう危機意識があります。

賛否は、変化をどのように捉えるのかによって分かれます。

ポイントは、世の中の変化に対して自分自身に変化を起こすことを肯定するのか、それとも否定するのか、です。

たとえば、スタートアップと呼ばれる起業家たちは、冒険者のように一番乗りで何か新しいことを始める人なので、積極的に自分自身に変化を起こしていきます。

かたや、多くの普通の人たちは、自分自身が変われそうだと感じたり、現実的に変わらなければいけないタイミングで、変化を起こします。

なかには、あまり多くの変化を起こしたくないと考える人もいます。

歴史は、変化する環境では自分自身が変わることが生き残る術であり、それが出来ない会社や人が淘汰されていくことを物語っています。

自分自身が変化することは、辛くて、難しくて、ピンチを招くことさえあります。

しかし、長期的な視点では、生き残りや大きな飛躍につながることをしっかりと理解しておくべきです。

まとめ

サントリーの新浪社長が提言した45歳定年制と財務省の矢野事務次官が寄稿した論文には賛否両論があり、そこからは変化の捉え方の違いが見えてきます。

経営者は、事業環境や経営環境の変化に自分自身がどう向き合うべきか、参考にできるところがあります。

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