中小企業の災害対策
最近、日本各地で震度4程度の地震が頻繁に起きています。
地震や台風、洪水などの災害はいつ起きるか、誰も知ることができません。
経営者の中には、起きるかどうかわからないものにカネはかけられないから、起きたら起きたで仕方がない、とあきらめている方もいるでしょう。
ただ、そういう方も、東日本大震災や新型コロナを考えれば、平時の備えの大切さは身に染みて理解しているはずです。
備えあれば憂いなし、とはいかないまでも、会社の体力をみながら、災害の備えをしておくことが大事です。
ピンポイントのハード対策
地震によって建物や工場が損壊してしまうと、復旧までには多くの時間とお金がかかります。
そんなとき、もしも、建物や工場に耐震補強をしていれば、地震の被害は最小限に食い止めることができるかもしれません。
建物や工場などの災害対策では、災害時の物理的被害を軽減できる、ハード面での対策が有効です。
ただ、一般にハード面の対策は、広範囲に実施する必要があるといわれるために、費用は多額になりがちです。
そのため、財務体力のない会社は、ハード面での災害対策を見送ることが多いです。
しかし、だからといって何もしないというのはやや乱暴です。
かけられる予算は限られるにしても、たとえば、重大な被害が発生すると困る施設や設備に限り、ピンポイントの対策を実施することはできます。
耐震補強であれば、建物本体ではなく、建物内部の重要設備を保護する工事に限定したり、台風・洪水などの水害対策であれば、施設全体の嵩上げではなく、重要施設を一時的に保護する防水対策に限定します。
災害時の損害保険の活用も含めて、費用対効果が最大限に発揮できるものに絞って、対策を講じることが現実的です。
継続的なソフト対策
地震や台風、洪水などの際に、ハードの対策だけで被害を食い止めるのは、余程のカネをかけない限り、難しいでしょう。
もしも、ハードの対策に不備があったり、想定以上の災害が起きたときには、すぐに手遅れとなります。
そんなとき、各個人に、いざというときの知識と経験が備わっていれば、災害の被害を少なくすることができます。
災害のソフト対策は、災害に関する情報と訓練によって、災害の被害を軽減する方法です。
状況や内容によっては、被害を最小限に抑えることができたり、最悪の事態を回避することにつながります。
ハザードマップであらかじめ情報を知っていれば、災害時に適切な避難場所にすぐに移動することができます。
平時の訓練でさまざまな災害を想定しておけば、実際の災害でも状況に合わせて適切な行動をとれるようになります。
ソフトの対策はハードの対策に比べて安価です。
繰り返し、繰り返し、継続して実施することで、大きな効果が期待できます。
財務体力のない会社には、とても適した災害対策といえます。