中低所得者層の不満
政府・与党は、所得金額1億円を超える富裕層で税負担率が低下する、いわゆる「1億円の壁」の見直しに着手する方針です。
税金は公平に負担されているのか、その問いが改めて注目されています。
金融所得の割合が高い富裕層の税負担が、給与所得が中心の中間層よりも軽くなる現象は、以前から問題視されてきました。
物価高や将来不安が続く中で、とりわけ中低所得者層を中心に、この逆転現象に対する不公平感は強まっています。
今回の見直しの背景には、こうした不満を和らげ、社会の緊張を緩和する必要性が高まっていることがあります。
とはいえ、課税が強化される富裕層の人数は限られてます。
そのため、国全体で得られる税収は限定的です。
当然ですが、富裕層への課税強化だけで、中低所得者層の生活を大きく改善できるわけではありません。
重要なことは、税負担の歪みを是正する効果に過度な期待を抱かないことです。
政府・与党には、富裕層への課税強化に加え、賃上げの促進や社会保障制度の見直しなど、より実効性のある政策と組み合わせて、不公平感の解消に取り組むことが求められます。