魚の眼で注視する日常
魚は、海や川で水の流れを常に感じ取りながら生きています。
魚の住む水の中をビジネスの世界に例えて、経営者が世の中のトレンドや時代の移り変わりを見逃さずに、仕事に活かす視点を魚の眼といいます。
日常生活の歴史的転換点
新型コロナの登場は、ビジネスの日常を大きく変えました。
いまや、私たちは、毎日会社に通勤したり、取引先に出かけて行かなくても仕事ができるようになっています。
ビジネスの必需品だった名刺や判子の出番も、最近はめっきり減ってきました。
個人差はありますが、住む場所と働く場所の線の引き方にも、曖昧な領域が少しずつ増えています。
人びとの消費に対する考え方も、ここ数年で大きな変化が見られます。
以前のような大量生産・大量消費は鳴りを潜めて、経済的な豊かさが本当に幸せかどうか、疑問をもつ人は着実に増えています。
とくに、若い人には、あまり多くのモノを持たずに、良いモノを長く愛用して、本当に必要なモノだけにお金を使う人が増えています。
働くことの意味も、長引く出生率の低下と少子化、長寿命化を背景に大きく変わり始めました。
これまでのように、働くことが人生の最優先ではなくなっていて、育児や介護とバランスを取ることが不可欠です。
日本の社会が将来も持続可能なものになるには、働く人が人生のそれぞれの時期に、多様な働き方が選択できるようにしなければなりません。
会社員が見る定年の位置付けも変わりつつあります。
人生100年時代になると、老後の生活資金が不安な人にとっては60歳半ばの引退では早過ぎます。
長寿命になれば、若い人も人生の選択肢が増えるので、自分の存在価値を主体的に築きながら、人生をどのように設計していくかが重要になります。
自分は何を大切にして生き、何を人生の土台にしたいのか。
ひとりひとりが、真剣に向き合うことになります。
日常の変化と世界の変化
普段は変わらないように見える日常にも様々な変化が生じています。
私たちの一日一日の変化は、少しずつで小さなものかもしれません。
ですが、時間が経てば世界の変化とつながっていることがわかります。
世界はいま、様々な問題に直面しています。
地球温暖化はどのようにして回避するのか、富の偏在と貧困の定着はどうしたら解決できるのか、持続可能な食糧とエネルギーの仕組みとはどのようなものか、等々。
こうした問題に対応するために、世界は、政治、経済、テクノロジーが複雑に絡み合いながら、もの凄く速いスピードで動いています。
世界の変化は、かならず私たちの日常に入り込んできます。
私たちの日常のどこに世の中のトレンドや時代の移り変わりがあるのか、常に注視し続けていくことが大切です。