自由貿易と国家安全保障

自由貿易は、各国が関税や規制を撤廃あるいは最小限に抑えることによって、国境を越えて商品・サービスを自由に取引できる世界を目指します。

その目的は、資本主義の市場競争原理に基づき、他国との経済連携を深めることで、自国の経済的利益の最大化を図ることです。

他国から輸入する品物の関税が撤廃あるいは大幅に引き下げられれば、事業者は低価格で品物を消費者に提供し、消費者は手頃な価格で品物を手に入れることができます。

また、事業者が他国に品物を自由に輸出できるようになれば、新たな顧客を獲得して売り上げを伸ばし、国内の生産と雇用を増やすことになります。

とはいえ、自由貿易の発展が、世界のすべての人に恩恵を与えるわけではありません。

他国よりも競争力の劣る産業で働く労働者は、自国の産業が衰退して所得が増えず、最悪の場合は仕事を失うことになります。

とりわけ厄介なことは、自由貿易によって衰退する産業が国家安全保障に関わる場合です。

トランプ大統領は、この問題を自由貿易の放棄によって解決しようと試みています。

しかし、自由貿易の放棄は、これまでその恩恵を受けてきた人々を苦しめることに繋がります。

自由貿易の堅持と国家安全保障の両立にはどの方法が最善か、どの国の政治家も真剣に向き合うことになります。

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