投資の迷い

10月の米国CPI (消費者物価指数)が市場予想を下回ると、FRB(米国連邦準備理事会)が利上げペースを鈍化させるとの見方が広がり、先週11日の外国為替市場は、円が一時1ドル138円台まで買われる場面がありました。

10日の夕方は1ドル146円台のため、わずか1日のうちに8円も円高方向に相場が動きました。

米国の市場関係者の間では、FRBが利上げペースを減速させるとの期待が広がる一方で、根強いインフレ圧力によって利上げペースが鈍るかのどうか、懐疑的な見方も根強いようです。

当面の円相場は、米国景気指標やFRB の政策方向に大きな影響を受ける状況が続きそうです。

かたや国内に目を向けると、先週11日は、外国人観光客の水際対策緩和と全国旅行支援の開始から、ちょうど1か月が経ちます。

斉藤国土交通大臣は、「多くの観光地において昨年同時期よりも多くの旅行者で賑わっており、高い需要喚起の効果が現れている」とし、「より多くの旅行者の方々に制度を御活用いただけるよう、引き続き、都道府県とも十分に連携しながら、全国旅行支援の円滑な実施に取り組んでまいりたい」と述べています。

一方、後藤新型コロナ対策担当大臣は、新型コロナの感染状況について、「全国で増加傾向にあり、特に北海道、東北地方などは高い水準となっている。現在の感染拡大傾向が今後も継続すれば、いわゆる『第8波』につながる可能性があるという認識は持っており、高い警戒感を持って感染動向を注視していく必要がある」と述べ、「忘年会などの宴会では、飲食店には十分な喚起や消毒など基本的な感染対策の実施をお願いしたいし、国民には大声を出さず、長時間の滞在を避けるなど、基本的な感染対策を実施したうえで、会食を行ってほしい」と呼びかけました。

2年前のGo To トラベルでは、政府が感染拡大を受けて12月に全国一斉に実施を中断したため、年末年始の宿泊予約に大量キャンセルが発生する事態となりました。

観光業界では、全国旅行支援で宿泊予約が回復するなか、政府の行動制限でGo To トラベルの二の舞いになるのではないかと心配する声があります。

新型コロナ禍以降、ロシアの軍事侵攻や米中政治対立など、様々な要因が複雑に絡み合い、経営環境や事業環境が頻繁に変化している状況が続いています。

そのような中で、将来を決める投資を決断する経営者の心に迷いが生じるのは当然といえます。

時代の変化を見据えて一日も早く投資すべきか、それとも、暫く様子を見ながら情報収集に注力すべきか、その決断は簡単ではありません。

投資に焦りは禁物です。

決断の答えが直ぐに見つからないということは、何か新しい発見をするために必要な時間と考えることもできます。

ここは時間をかけることが成功への近道だと考えて、心の迷いとしっかりと向き合うことが賢明なのかもしれません。

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