株式の所有と税務会計の活用
ロシアがウクライナに軍事侵攻して以来、世界中の株価が連日乱高下しています。
上場株式を所有する会社の中には、変動する株価に気を揉む経営者がいるかもしれません。
中小企業では、大半の会社が税務会計を適用しています。
会社は、税務会計を上手に適用することで、所有する株式の株価の変動から、会社の財務を守ることができます。
売買目的の株式
会社が、株式を売買することで毎期一定の利益を得ることができれば、本業を補強する有力な手段になります。
ですが、株式の所有が財務の急激な悪化を招く場合もあります。
期末に所有する売買目的の株式は、株式の簿価を期末の再取得額に洗い替えます。
このため、株式を所有したまま株価が乱高下すると、株価が下落すれば損失がでて節税となる反面、株価が上昇すれば利益がでて税負担が重くなるので、会社の財務に大きく影響します。
したがって、売買目的の株式は、期末に所有しないように期中に売却しておくか、株価が乱高下する状況では所有しないなど、株価の変動から会社の財務を切り離す手段が有効です。
それ以外の株式
会社が、売買目的以外で株式を所有する場合は、顧客や取引先からの要請で、相手先企業の株式を長期間所有することがほとんどです。
売買目的以外で所有する株式の会計処理は、株式を取得したときの金額が簿価になります。
売買目的の株式のような決算時の洗い替え処理はないため、会社の財務負担は小さくすみます。
しかし、株式を長期間所有していれば、株価が大きく下落することがあります。
その場合、会社は多額の含み損を抱えるので、注意が必要です。
多額の含み損が発生した株式は、相手先企業の承諾をえて、一旦売却することにします。
売却するタイミングは、自社の業績が好調であれば、株式の含み損を利用して利益を圧縮できるため、決算への影響を確認しながら、計画的に決定します。
また、売却した株式は、その後に取得して所有しつづけますが、かりに株価が回復すれば、株式には含み益が生じるため、こんどは健全な資産として、会社の財務の安定に貢献できることになります。