予備費の使い方
政府は、2022年度予算の予備費から新型コロナと物価高対策に2兆円余りを使うことを決めました。
地方自治体にLPガスや電気料金の負担軽減として1兆2000億円を配るほか、一律3万円を低所得世帯に支給します。
物価高で困っている人や原材料高に苦しむ事業者に対して、何らかの支援が必要なことは理解できます。
しかし、国は、既に13兆円ものお金を家計や企業のガソリン代の補助などで使っています。
今回決定された追加の対策が、本当に必要な人や会社に的を絞った内容といえるのかどうか、政策効果の検証は不可欠といえます。
本来、予算の予備費は、突発的に発生した自然災害などの対策に備えるためのものです。
そのため、予備費は予算編成上の例外的な支出項目として、東日本大震災などの特殊な年を除けば、当初予算の段階では数千億円程度の計上というのが普通です。
しかし、新型コロナの感染拡大で予備費の計上が10兆円に膨れ上がると、その後は物価高対策にも使われるようになっていき、予算での巨額の予備費の計上が常態化していきました。
実際、2023年度の当初予算でも、5兆5000億円の予備費が計上されています。
こうした状況に対して、野党議員や経済専門家などからは、予備費が政府の便利な財布として使われることを心配する声があがっています。
日本の財政は、新型コロナ禍の影響もあって悪化する一方です。
国の借金である普通国債の発行残高は1000兆円の大台を超えました。
今後は、防衛力増強や異次元の少子化対策の財源確保が大きな問題となるでしょう。
政府は、バラマキとの指摘が出るような予備費の使い方をあらため、限られた予算を慎重に使うことを考えていかなければなりません。