金融政策の影響

日銀の金融緩和が修正され、銀行の預金金利が引き上げられたほか、一部の変動貸出金利には引き上げの動きが出始めました。

今後は、景気の回復にあわせて、徐々に金利の上昇圧力が強まることが予想されます。

そのため、金利の上昇が、自社だけでなく、自社の得意先にとってプラスの影響に働くのか、それともマイナスの影響に働くのか、常に気にしておくことが大事になります。

例えば、得意先の会社が無借金で、銀行におカネを多く預けている場合は、金利上昇によって金利収入の増加が見込まれるため、金利の上昇は、自社にとってもプラスといえます。

また、金利の上昇局面には、通常、為替レートは円高方向に動くため、海外からの輸入が多い得意先では、仕入コストの低下につながり、自社にもプラスといえます。

反対に、預金よりも借入金が多い得意先や、海外への輸出が多い得意先では、金利の上昇により、借入利息が増加したり、海外売上が減少するため、自社にはマイナスとなります。

同様に、自社の事業が、国内富裕層向け事業の場合には、金利の上昇が、富裕層の金融収入を増やすため、事業面ではプラスです。

一方、自社の事業が、海外インバウンド向け事業の場合には、為替レートが円高方向に振れるため、事業面では大きなマイナスです。

金融政策の正常化は、長期的にみると、日本経済にとって、プラスの影響があることに間違いはありません。

しかし、金利が上昇する局面では、自社の財務諸表(預金量や借入金残高、金利固定化の有無など)への影響にとどまらず、得意先の会社経営にも、大きな影響があることを忘れてはなりません。

今後の金融政策の動きが、自社や得意先にどのような影響を及ぼすのか、常に意識を幅広に向けておく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

雇用ミスマッチの防止

次の記事

予算編成と財政規律