非効率なふるさと納税制度
ふるさと納税は、地域格差や過疎に苦しむ自治体を支援するための税制として、2008年から始まりました。
その後、広告による認知度向上や魅力的な返礼品の増加により、ふるさと納税による寄付額は、およそ1兆円にまで膨らみました。
いまや、ふるさと納税は、多額の寄付を集める自治体にとっては必要不可欠の重要財源となり、一方、多額の寄付による税収減に直面する自治体では財源不足の問題が生じるなど、規模拡大の弊害も指摘され始めています。
また、過去には過度な返礼品をめぐって総務省と一部自治体が裁判で争うなど、制度の趣旨に反する問題が起きるたびに、総務省はふるさと納税のルールを変更してきました。
今回、総務省は、2025年10月から、利用者にポイントを付与する、ふるさと納税の仲介サイトを経由した寄付を禁止すると発表しました。
総務省は、自治体が仲介サイトに支払う手数料を問題視していて、今回のねらいは、仲介サイトが利用者にポイントを付与するコストがなくなれば、自治体が仲介サイトに支払う手数料も減額できると期待しています。
総務省によると、自治体が負担する、ふるさと納税の経費は寄付額の半分近くとなり、寄付額の半分しか自治体には財源として残っていません。
ふるさと納税の寄付額がおよそ1兆円ともなれば、ふるさと納税の経費に約5,000億円もの税金が使われていることになります。
ふるさと納税が地域格差や過疎に苦しむ自治体を支援するための制度であるとはいえ、使われる経費の大きさを考えると、あまりに非効率な制度ということになります。