諫言を聞く

米国のトランプ次期大統領は、その人の適性や経験よりも、自分への忠誠心を重視して新政権の主要ポストを人選しています。

組織のトップが周囲をイエスマンばかりで固める体制は、トップの決断を迅速に実行できる反面、トップが暴走したときに歯止めをかけることは困難です。

松下幸之助一日一話(PHP研究編)6月29日(火)諌言を聞く、に次のような話があります。

「指導者が物事を進めていくに当たって、みなからいろいろな意見や情報を聞くのは当然の姿である。そしてその場合、大事なのは、自分にとって都合のいいことよりも、むしろ悪いことを多く聞くことである。つまり、賞賛の言葉、順調に進んでいる事柄についての情報よりも、“ここはこうしなくてはいけない”といった諫言なり、悪い点を指摘する情報を努めて聞くようにしなければならない。ところが、そうした情報はなかなか指導者の耳に入ってきにくいものだ。だから、指導者はできるだけ、そうした諫言なり、悪い情報を求め、みながそれを伝えやすいような雰囲気をつくることが大切なのである。」

組織のトップが自分の過ちを知るには、周囲の人の耳の痛い話を聞かなければわかりません。

普段から自分が正しいと思い込み、相手に自分の考えを押し付けるようでは、誰も自分を諫めてくれようとしなくなります。

人は成功を積み重ねるにつれて自分に自信を持ち、困難な状況や難しい問題に立ち向かう勇気を得ます。

しかし、人はどれほどの自信を自分の中に持とうとも、自分の欠点が無くなるわけではありません。

組織のトップは、自分の欠点を補う手段として、自分を諫める人を周囲に選ぶことの大切さに気づくべきです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

所得再分配の強化

次の記事

実需と仮需