有事における経営思考
いまだ新型コロナ禍の収束がみえない中、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始しました。
いま世界は、近年には経験のなかった脅威や有事に直面しています。
人びとが望む豊かさへの追求は、経済のグローバル化とテクノロジーの進化を強力に推し進めます。
しかし、その副作用として、食糧・エネルギーの偏在と不均衡、貧富による社会の格差と軋轢、異なる政治体制の衝突など、世界はさまざまな問題を抱えています。
ビジネスの世界でも、近年直面してこなかった未知の変化が増えていて、もはや過去の経験や考え方を踏襲することは困難です。
平時が有事ともいえる時代は、会社の経営でも、これまでとは違う思考の切り替えが求められます。
ゼロベース思考
自分の持っている知識や経験を無視して、ゼロから物事を考えることをゼロベース思考というそうです。
平時は、ビジネスでも、自分が培ってきた知識と経験を頼りに判断するほうが、良い結果につながる確率が高くなります。
しかし、有事の際に目の前で起きている物事が、自分の知識と経験では理解し難いときには、それらを持ち出して判断するのはやめたほうがよいでしょう。
これまでに培った知識と経験には、ある種のフィルターがどうしてもかかります。
まっさらな状態ならみえるはずの物事がみえない恐れがあるのです。
原点回帰
ただ、苦労して身につけた知識と経験を無視することは、簡単にできるものではありません。
おそらく、長くビジネスをしてきた人ほど難しいでしょう。
そんなときは、いちど原点に立ち戻って、自分のビジネスとは何か、自分は世の中に向かって何がしたいのか、自問自答してみてはどうでしょうか。
ゆく道がわからないときこそ、自分のスタート地点とゴール地点を確認すべきです。
また、自問自答の作業は、自分ひとりではなく、社員を巻き込むことも大切です。
そうすることで、一緒にゴールを目指そうという結束がうまれ、自分ではみつけることのできない使命と役割をみつけることができます。
プラス思考
有事の困難や逆境は乗り越えていくほかありません。
まずは、とりあえずやってみよう、そういう思考が必要です。
物事をプラスに考えると、新しいことにチャレンジする気持ちがうまれてきます。
もし失敗したとしても、それを今後の糧として受けとめることもできます。
プラスの思考は、周囲の雰囲気を明るくしてコミュニケーションを高めます。
社内に信頼関係がうまれれば、多方面から様々な意見を集めることができ、有事の困難や逆境を乗り越えるための知恵とチカラを手にすることができます。