中堅企業
国内投資の拡大や持続的賃上げの実現に向けて、中小企業よりも規模が大きい中堅企業の成長を支援する、改正産業競争力強化法などが年内に施行されます。
この法律では、従業員2,000人以下で中小企業に該当しない企業を新たに中堅企業と定義し、賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業に対して、M&A税制の後押しや長期金融の支援を行うものです。
東京商工リサーチの調べでは、中堅企業の数は2024年3月時点で9,229社あり、このうち2023年から2024年に中小企業から中堅企業に規模を拡大した企業は399社あるそうです。
また、同期間中に中堅企業から中小企業に規模が縮小した企業が311社あり、入れ替えが多いこともわかります。
産業の種類では、中堅企業の最も多い業種がサービス業他であるのに対して、大企業では製造業、中小企業では建設業というように、企業規模の大きさと主力業種に何らかの関係があるように見えます。
3期連続して比較可能な企業を対象にした2023年1-12月期の従業員1人当たりの年間売上高では、中堅企業の8,253万円に対して大企業は8,702万円、中小企業は4,267万円であり、大企業、中堅企業と中小企業の差がひらいています。
2023年1-12月期の当期利益率を見ても、中堅企業の7.3%に対して大企業は8.4%、中小企業は3.4%であり、同様に中小企業との差は大きくひらいています。
今回の法改正で国は、中堅企業を地域経済の牽引役として位置づけて、中堅企業の成長による国内投資の拡大や持続的賃上げの実現を目指しています。
今後は、国が従来の保護重視の中小企業政策から脱皮して、どれだけ中堅企業に移行できる中小企業を増やしていけるか、競争重視の政策に転換することを期待します。