自分の癖
人は誰しも、何かを決めるときに自分でも気づかない癖を持っています。
会社を経営する立場に立つと、その癖が思わぬ形で表れてしまうことがあります。
たとえば、これまで積み重ねてきたやり方や仕組みを守ろうと現状維持を好む傾向です。
変化が激しい時代に同じ場所にとどまることが安全策とは限りません。
心のどこかで変えないほうが安全と思ってしまう癖が、成長の機会を見逃してしまうこともあります。
また、人は自分の考えを後押しする情報ばかりを集め、反対の意見には耳をふさぎがちです。
事業に成功したいという気持ちが強ければ強いほど、都合の良い情報ばかりを頼りにして、冷静な判断をすることができません。
時には、数字や条件に対する強いこだわりが邪魔して、取引本来の客観的な価値を見失うことがあります。
数字やデータに強い経営者であっても、心の働きが判断に影響します。
自分の癖を完全に消し去ることはできません。
また、癖という人間らしさがあるからこそ、数字だけでは測れない経営の面白さや温かさが生まれます。
自分の癖に気づいて、今の判断は自分の思い込みになっていないか、一歩引いて考えるだけで見える景色は変わっていきます。
時には、自分だけで抱え込まず、周囲の意見に耳を傾けることも大切です。
自分と異なる視点を交えることで、自分の癖に気づくことがあります。
経営は人と人との営みです。
自分の癖を受け入れて、その癖とうまく付き合っていく姿勢が、経営者には欠かせません。